もし向井理と銀婚式を迎えたら
「俺なー、あいこ。俺ら今まで色ーんな事があったけど・・・」
「うん?」
「あいこに結婚しょうって言ったあの日に戻って、その時の自分に
“目の前の人を絶対に手放すなよ” って言いたい・・・
これからも隣りにいてくれよな。」
と言われたい、あいこです。
そんな妄想をしたのは、先日
映画「恋妻家 宮本」を観てきたから。以下、レビュー書きます。
≪あらすじ≫
陽平(阿部寛/中学校教師)と美代子(天海祐希/専業主婦)の宮本夫婦は
学生時代に妊娠の末、結婚。時は流れてひとり息子の正は結婚し家を出ることに。
50歳にして初めて夫婦ふたりきりでの生活を送ることになるが、
ある日、陽平は美代子が隠し持っていた離婚届を見つけてしまい……。
【引用元:映画.com】
≪レビュー≫
子どもが独り立ちした後の夫婦がどのように向き合っていくのか、
「熟年離婚」についてに描いた映画。
以前観た『家族はつらいよ』も熟年離婚を取り上げ
重いテーマの中でクスッと笑える場面が多かった点はよく似ていますが・・・
個人的には『家族はつらいよ』より心をわし掴まれ
もう一度見たくなる映画でした。
その理由は、私が映画に求める3つの要素を全て満たしていたから。
ところどころに笑いがあり、いい意味で「気を抜ける」
まず冒頭10分で、陽平の優柔不断さに思わずニヤニヤ(笑)
原作は「ファミレス」という重松清の小説なんですが
舞台はそこから始まり、それからも終始
阿部寛のダメっぷりが可笑しく愛らしい(笑)
美味しそうな料理が出てくる
そんな陽平は職場でも不器用さが前面に出てしまい
生徒に説教されても何も言えないダメっぷり(笑)
生徒からも奥さんからも「先生に(結婚に)向いていない」と見放され
昔から変わらない自分を振り返っては自己嫌悪に。
それでも息子の独り立ち後、料理教室に通い始めたのを機に
料理を生きがいにしながら奮闘する陽平。
(教師として生きがいがそれって、、という突っ込みどころも観ていて◎)
なので作中に、誰でも簡単に作れる料理が何品も出てきます。
あのイキイキとした陽平の顔に、食欲そそられる(笑)
心温まり、もう一度見たくなる
思春期まっただ中でお調子者の生徒(通称ドン)が抱える悩み、
そして妻が離婚を考えるようになった理由に
料理を通して向き合い、上手く言葉に出来ないながらも
自分の想いを一生懸命伝え、成長する陽平の姿にはジーンとくるばかり。
(陽平が、家を出た美代子と再会した駅の名前もまたニクい。)
他のレビューの中には「半分寝ていても展開が分かる」という意見もあったけど
作中ひとつひとつの言葉はどれも、聞き逃したら勿体ないほど温かく、
愛情と優しさがいーーっぱい詰まっていました。
まさかこんなに感動するとは予想外なくらい(笑)
(途中涙をふきたくてカバンからハンカチを探すも、
映画館が暗くてよく見えず結局、毛糸の手袋で必死に涙をおさる羽目に)
また今回この映画を観ようと思ったのは、
「個人的に好きなキャストばかりだったから」ですが、そこもまさに期待通り。
他の作品でも度々見かける阿部寛のダメダメキャラと、
天海祐希のサバサバ感はまさに適役。
菅野美穂が醸し出す人妻の色っぽさと、
相武沙希の恋愛に振り回されて喜怒哀楽する所も妙にリアリティーがあり
若い頃の宮本夫婦を演じた工藤阿須加と早見あかりも全く違和感なくて
もうとにかく全員良かった。
というか、むしろ
エンドロールの安っぽいミュージカル仕様にかなりの違和感があれど(笑)
そこを差っ引いても120点の映画でした。
ちなみに映画のワンシーンで、自分と旦那さんとの思い出と重なる部分があり
観終わった後、結婚前を思い出してしまいました。
付き合っていた頃の気持ちと、今現在の気持ちを比較すると
少なからず愛情に変化があるのは仕方のない事で。
でも、50歳以上の夫婦の6組に1組が離婚に至り
他人事じゃない!という不安ばかり煽られる時代、
これから先、気持ちがどう変わっていっても
宮本夫婦のようにいつまでもお互いを想いあえる夫婦でいれたら、と
希望を持たせてくれる映画でもありました。
(いや決して、向井理を妄想した言い訳ではなく)